河童(2) 

「酔覚に河童は皿の水を飲み」という川柳が「柳多留」にあります。
この川柳ができた背景には、河童は「酒飲み」である、という考えが潜んでいると思います。飲んだ酒が伏見の「黄桜」(創業は大正時代)だとは思いませんが(笑)、河童が酒宴をしていたのを目撃した話が佐藤垢石の「河童酒宴」に見えます。河童の好物は

    キュウリ

ということになっていますが、ほかにも魚や水草などを好んだようです。川の中にいるのですから当然でしょうね。さらに、しばしば言われるのは馬肉が好き、ということです。馬を川の中に引っぱりこんだという話もあります。
馬の足跡ほどの水たまりがあったら河童が住んでいるとか、厠(トイレ)の肥だめのところから手を出して用を足している人の「シリコダマ」を取るとか言われ、大河に住んでいるとは限らないのです。だからこそ、どこにでも潜んでいる可能性がある、人間とは隣り合わせの世界にいるようなのです。
それだけに、河童は人との関わりも少なくなく、折口信夫「河童の話」が紹介するところでは、

    壱岐の島

の長者原(ちょうじゃばる)というのは河童(あちらの言い方では「があたろ」)を使役していた長者の住んでいたところだと伝わるそうです。

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小さな子どもの姿をしていた河童(があたろ)がこの家に使われるようになってから、にわかに家は豊かになり次々に蔵を建増すほどになりました。しかし、この河童が歩いたところはびしょびしょに濡れるので、女房がそれを嫌い、この河童を寄せ付けないようにしたらたくさん建てた蔵が消えてなくなったということです。
平戸に伝わる話では、ある金持ちの家に使われていた女は、毎日やってきては夜になると帰って行きます。どこから来るのかあとをつけてみると海の波がモーゼみたいに(笑)

    二つに裂け

て、女はその中に入っていったというのです。するとその女は二度と現れませんでした。人以外(異種)のものが正体を見破られると姿を消すというのは「鶴女房」などと同じでしょう。
長者原も海を前にしたところにあるので、この二つの話は使役されている河童らしき者が海に出入りしていることが共通しており、河童は川に住んでいるとは限らないこともわかります。
壱岐の殿川(とのかわ)屋敷という分限者の当主が、美しい女と出会って連れ帰って妻として子どもまでできたものの、ついには井戸に飛び込んで姿を消したという話も折口は紹介しています。井戸は海につながっているという考えがあったようです。奈良東大寺二月堂のお水取りの

    「若狭井」

も若狭国につながっていると言われますが、地下の水は横のつながりがあったという考えがうかがわれます。
人間と結婚する異種というと、文楽では狐葛の葉とか三十三間堂のお柳などがありますが、河童にもそういう話が残っているわけです。(続く)

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