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更衣 

『源氏物語』の主人公、光源氏の母親は更衣という身分でした。天皇の配偶者のうち最上の身分と言えば皇后(中宮)ですが、それは女御(にようご)の中から選ばれます。そして女御のワンランク下が更衣だったのですが、こういう身分はその人自身の能力とは関係なく、家柄、つまり父親の身分によって決まってしまうことがありました。大臣の娘なら「女御」で、中宮候補になり得たのですが、更衣というのはおおむね納言の家の出身者です。光源氏の母も父親は按察使大納言でしたので更衣として入内、その後父親が亡くなったこともあって彼女は更衣のままで終わってしまいます。帝は彼女を女御にしたいと考えたようですが果たせず、後になって悔いています。
この「更衣」というのは文字どおり天皇の衣更えに奉仕する女官だったのが、やがて寝所に侍る女性になったようです。ただし、更衣という身分は次第に姿を消して『源氏物語』の時代にもほぼなかったと考えられます。
旧暦の四月一日は夏の始まりということで、

    衣更え

がおこなわれました。『源氏物語』「明石」にも「四月になりぬ。衣更への御装束・・」と描かれるとおりです。半年後の十月一日にも今度は冬の装束に改める「衣更え」がおこなわれました。
今年の旧暦四月一日は今の暦でいうと明日(5月12日)にあたります。たしかに、これくらいの時期になれば今でも上着を脱ぎたくなりますよね。
江戸時代くらいになると、綿入れを袷に着替えるのが夏の衣更えでした。珍しいお名前に

    「四月朔日」さん

または「四月一日」さんがあります。いずれも「わたぬき」と読むお名前です。もちろん「綿を抜く日」だからそう読むわけです。「八月朔日」または「八月一日」と書いて「ほずみ」と読む(稲穂を摘んで神に供える日だから。本来は「ほづみ」と表記されるところ)のと同じように判じ物のようなお名前です。
これらは実在する「珍名さん」なのですが、それを真似て「こう書いてこう読むとおもしろかろう」というので、架空の苗字が作られたりします。「十二月二十九日」と書いて「つめづめ」と読むとか、「春夏秋冬」と書いて「ひととせ」と読むなどがそれです。実際にはそういう人はいないようですが、ふざけて考えた人がいるのでしょう。「光宙」と書いて「ぴかちゅう」と読むとか、「宇宙」と書いて「こすも」と読むなどという「キラキラネーム」は今もあるようですが、上記の珍名さんは、言ってみれば苗字のキラキラネームというところでしょうか。

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