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連理の枝 

元禄十六年四月七日は今の暦なら5月22日でした。今の時期に大坂曽根崎の森でお初と徳兵衛が心中したのですね。
先日、近所の神社に行きましたら、鳥居のすぐそばの木に目が留まりました。二本の木が寄り添うように立っているのです。実際はお互いに「邪魔だなぁ」と思っているのかもしれませんが(笑)、「連理の枝」とでもいうように仲良くくっついている、あえていうなら抱き合っているようにも見えるのです。神社の人もそれに気づいたのでしょう、ピンク色(!)のしめ縄をかけて、ハート形になるように結んでいました。若い女性なら「あ、かわいい」と言って近づいてきそうでした。私もつい近づいてしまったのですが(笑)。
「連理の枝」は「比翼の鳥」と一対になって、男女の仲の良いことを喩える時に用いられる言葉ですが、これらは白居易の。

    「長恨歌」

に見られる言葉です。「漢皇色を重んじて傾国を思ふ」で始まるこの有名な詩は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃を描いた長大な詩で、私も何度か丸暗記しようとして挫折しました。この詩の最後の部分に
七月七日長生殿
夜半無人私語時
在天願作比翼鳥
在地願為連理枝
という一説があるのです。「七月七日長生殿、夜半人無く私(ひそ)かに語る時、天に在りては願はくは比翼の鳥と作(な)り、地に在りては願はくは連理の枝とならん」と読めます。
この「比翼の鳥」「連理の枝」ということばはあまりにも有名になって、『源氏物語』「桐壷」には「朝夕の言ぐさに羽を並べ枝をかはさむと契らせたまひしに・・」とありますし、『平家物語』「小督」にも「天に住まば比翼の鳥、地に住まば連理の枝とならむ」と、出てきますし、『曽根崎心中』「道行」にも「涙の糸の結び松、棕櫚の一木の相生を、

    連理の契り

になぞらへ・・」という一節があります。これらはほんのわずかな例に過ぎず、今でも結婚式場で見かけることもある言葉です。私は観たことはありませんが、韓国の映画にも『連理の枝』という作品があるようです。
白居易という人は日本文学に大きな影響を与えました。白居易だけではありません。『源氏物語』を読んでいると、作者紫式部の漢文の素養の深さには舌を巻きます。もちろん『枕草子』の清少納言も同じです。男性貴族は漢文こそが学問でしたから、これまた言うまでもないのです。
私が高校生の時は「漢文」は3年間必修でしたが、今は受講しなくてもよい選択科目になっているようです。しかし日本文化に多大な影響を与えた漢詩、古代中国思想、学術(医学、天文学その他)などを単なる外国文化としか考えずに勉強しないのはよくないと思います。

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