テキヤ
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『男はつらいよ』という映画を私はほとんど知りません。あれほど国民的な映画だったのに、映画館では観たことがないのです。かろうじて(ずいぶん昔に)テレビで少し観ましたが、自慢できるほど観たわけではありません。渥美清さんの演じた寅さんの職業はいわゆるテキヤ(的屋)なのでしょう。「フーテンの寅」などと言いますが、「瘋癲」どころか立派な職業を持っていたことになります。寅さんを演じた渥美さんは、タテ言葉というのでしょうか、ペラペラと口上をまくしたてて商品を売るという、口数の少ない私にはおよそ無理な技をお持ちでした。
歌舞伎十八番の
『外郎売』
は、実は曽我五郎(あるいは十郎)ではあるものの、行商の薬売りの姿です。これもあの有名な早口言葉で「透頂香」を売りますから寅さんと似ていなくもないと思うのですがやはりちょっと違うのでしょうか。
昭和になって現れた紙芝居屋というのも、子どもに紙芝居を見せながらも実は菓子を売る商売をしていました。あれは世界恐慌の失業者にとって貴重な収入源だったとも言われます。いろいろ考えてみると、「口で物を売る」という人はいろいろいるわけですね。
テキヤのことを
香具師(やし)
といいますが、「ヤシ」というのは「野士」(野武士のこと)だとも、弥四郎という人物の名前から来ているとも言われます(ほかにも説あり)。香具師という字が当てられるのは、もともと薬や香などの「香具」を売っていたことによるようです。
辻医者という歯医者も香具師であり、居合抜きや独楽(コマ)回しなどをして人を呼び寄せてついでにものを売る(実はこれが狙い)人もいましたし、軽業、傀儡などを見せた人たちもいました。
祭の場で商売をする人が多かったので、大岡越前守が寺社奉行のときに寺社奉行配下になったそうです。
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- [2021/10/04 00:00]
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コメント
神農さん
テキヤが信奉する神様は少彦名命(スクナヒコナノカミ)。通称・神農(しんのう)さま。農耕と薬の神様。テキヤがもともと薬を売ってきたことに由来するのですね。いまは薬事法によって原則薬剤師でなければ薬の取り扱いができなくなりました。
武田薬品や田辺製薬などの製薬メーカーもテキヤも、同じく神農さんを信奉しています。おもしろいですね。
♬やたけたの熊さん
テキヤにお詳しいやたけたの熊さんです。
神農さんといえば大阪の祭りの一年の掉尾を飾る祭り。道修町はいくらか雰囲気も変わりましたが、今でも薬の町としての雰囲気が漂いますね。神農さんのときは最近では着ぐるみまで登場します。改源の着ぐるみはなかなか印象的です。
ダフ屋はテキヤ?
10年前の東京出張。定宿が満室だったので浅草の某ホテルに1泊しました。素泊まりだったのでどこかで朝食をと探しました。吉野家かぁ。あんまり気乗りしませんでしたが入店しました。あらっ満席。いやいやカウンター席のそこだけがなぜか4、5席空いています。座ってから気が付きました。ジイサンが朝から日本酒をチビチビやっているのです。
「お父さん、朝からご機嫌ですね」とつい声をかけてしまいました。
「機嫌なんてよくねぇや」。それから日本の原発行政についてジイサンは鋭く批判します。わたし大いに同意しました。ジイサン機嫌が良くなったのか食べ残しのオカズをわたしに勧めます。これは丁重に遠慮しました(笑)
「お父さんいまも格好いいからモテたでしょう?」「うんモテたよ。俺ヤクザだから」「ヤクザにしては口調が穏やかですやん」「ダフ屋してたんだ。ダフ屋は言葉遣いは丁寧なんだ」「ダフ屋はテキヤでしょう?」「いいやダフ屋はテキヤでなくてヤクザなんだ」「テキヤは神農さん、ヤクザは天照大神ですもんね」「オレ、そんな難しいことわからねぇ!」
*ダフ屋。入手しにくいコンサートや劇場の入場券を高く売りつける。違反行為。「札屋」の札(ふだ)をひっくり返してダフ屋。
長々と失礼しました。
🎵やたけたの熊さん
ダフ屋というと、子どもの頃に甲子園に高校野球を観に行ったときに「余った券ないか」と言っている人を見て、「普通に切符売り場で買えばいいのに」と思ったことがありました。
吉野家で元ダフ屋が語る人生模様。短編小説になりそうです。
テキヤさんの定義は分かりませんが。
姉、わたしの幼馴染には、
テキヤさんの元締めという、選挙皆勤賞で、納税の褒章の額を掲げた屋台のご子息たちが、ワンサと居りました。
身体に模様の入ったご両親や、祖父母さん達ではありましたが、とても良識的な人でした。
公務員家族というだけで、私たち子供にまで、今日は給料日やとか、ボーナスあるってええなぁという、大人からの圧倒的な嫌みや意地悪な言葉も投げかけず。
唯々、ご自身たちの出店日を宣伝するだけで、とてもスマートなご一家が、多かったなぁ・・。
仲の良い幼馴染のテキヤさんの息子は。
お大師さんの日(須磨寺)や、楠木さんの日(湊川神社)には学校を欠席し、
明石焼きの屋台で働いているので、参拝がてら、両親と同級生家族を訪問し。
買って貰った明石焼きを、スタッフさん用の椅子に座って食べさせて貰う特典を受け。
お土産用の明石焼きを待っている間に、宿題のプリントの答え合わせをコッソリ渡して、お出汁をタプタプにオマケしてもらいました。
(お出汁をビニールに入れてをゴムで縛るだけの時代。
タプタプのピニール袋は重たく、更に、危険でしたが、何故か断れない雰囲気は理解できました。)
もう、30年前ほど昔のことですが。
あの頃から、あの家業の方たちの凄いところは、決して売上金額を、軽く言わないこと。
同級生曰く。
お前のおっちゃん(我が父)は、そんなん、する人チャウって信用してるけど。
ケチケチ税務署に言いつけるヤツって居ンねん。
売上なんて、絶対、言うたらアカンネンと、申しておりました。
中学生が、守秘義務を守るって凄いなと、後々になって、改めて実感しました。
父、曰く。
ケッタイな人間やないし、神社の水道に一番近い場所で営業できるくらいm保健所も認めて営業してるくらいやから、
ああいう屋台は大丈夫やろ、お大師さんも見てハルやろからな、と、総括しておりました。
しまった
急啓 申し訳ございません。
入力途中で、送信してしまった!!
センセ、毎回すみません。 読み捨てて下さいませ。 草々
テキヤの格
食べ物など日持ちしない商品を扱う人よりも、オモチャや食器など日持ちのする商品を扱う人の方が格上です。テキヤの世界ではですが。
ですから万年筆や磁気ネックレスや怪しげな本などを商う寅さんはテキヤの中では上位の格になります。
たびたび失礼しました。
♬やたけたの熊さん
ありがとうございました。
やたけたの熊さんに読まれることが分かっていながら、えらそうにこの記事を書いたのは間違いでした(笑)。
♬押しEgoさん
何をおっしゃいますやら。大作コメントありがとうございます。
やたけたのEgoと命名したくなるほど、熊さん並みにお詳しいのですね。
中学生が就労で欠席・・
途中送信すみません!!
下書き段階で、PCから離れたが故に、何故か?勝手に送信されてしまいました。いつもながら、申し訳ありません。
それにしても、
テキヤさんの、元締め家業の同級生。
就労の為に学校を欠席しても、問題視しないって、今のご時世ではどうなんだろう・・?(NETは荒れないのだろうか?)
が、こっそり屋台を訪問するのは、楽しみであり、恥ずかしくもあり。親に購入して貰っている我が身が、
何とも、恥ずかしいやら申し訳ないヤラ・・。
しかし、大人びた同級生たちは、
そんなン気にするンなら、もっと客を連れてこい、と。売上向上を促していました。商売熱心と、言っておこう・・・。
※勝手に更新しないPCって、私は何に?支配されているのだろう・・・
テキヤさんがPCを売っていたら聞いてみよう・・。
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