弓取式
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大相撲をあまり熱心に観ることはありません。
所作が美しくなく、だらだらした仕切りをして、負けたらなかなか立ち上がらず、ひどい人になると「てめぇ、なんで俺様に勝ちやがった!」といわんばかりに勝った力士を小突いたりします。そういうのが横行しているのに、なぜ観なければならないか、という気持ちが強いのです。
9月におこなわれた
大相撲秋場所
も、初日はまったく観ませんでした。ですから、横綱が一人休場していることも知らなかったのです。ところが、たまたま二日目の5時50分ごろ散歩から帰ってきて誰もいないところでひと息ついていたものですから、ついテレビをつけました。ちょうど結びの一番でした。相変わらず照ノ富士は強いです。今、誰がこの人を倒せるのだろう、と思うくらい無敵だと思います。
それでもうテレビを消そうかと思った時、弓取式が始まりました。弓取式というのは、本来結びで勝った力士が弓を与えられて、それを持って喜びの舞をしたことに由来するのだそうです。平安時代には褒美で衣を与えられることがありましたが、それをもらった人は肩に掛けてひとさし舞うのがしきたりでした。それと同じようなしきたりのようです。弓取式は普通横綱と同じ部屋に所属する幕下クラスの人が担当するそうで、このところは鶴竜関の付け人をしていた将豊竜が鶴竜の引退後も担当していたのだそうです。ところが初日の相撲で肩を痛めてできなくなり、かつて経験していて横綱照ノ富士と同じ伊勢ヶ濱部屋の序二段45枚目の
聡ノ富士
という人が急遽代役に任ぜられたそうです。そんなことは知らずに私は観るともなしに観ていました。するとぐいぐい引き込まれるような見事な弓取を見せてくれたのです。何と言ってもきびきびとして鮮やかでスキがなく型が美しいのです。あいにく勝ち力士のインタビューが入ったのですべてを観ることができませんでしたが、ちょっとした感動を味わいました。
こうなると、三日目も結びの一番のころにはテレビをつけないわけにはいかなくなりました。照ノ富士が土俵に上がっていましたが、私の目は行事だまりに控える聡ノ富士。今日もこの人だ、と思ったらもう「結びは早く終われ。どうせ照ノ富士が勝つんだし」と思いました。案の定、照ノ富士が勝ちました。はいお疲れさん。さて、いよいよ聡ノ富士の登場です。この日もきりっとして正面を向き、滞ることなく弓取を終えました。その間、驚くべきことに、アナウンサーが聡ノ富士のことを紹介し始め、解説の北の富士さんも「自分も弓取式をやりたかった」「その前に出世しちゃった」などと話し始めたのです。それで知ったのですが、この聡ノ富士は何と44歳なのだそうです。小柄でおそらくもう出世することはないでしょうが、44歳にして序二段で相撲を取りつつ、打ち出し前に堂々とテレビに映る仕事をする。なんとなく胸の熱くなる姿でした。こういう人もいてこその大相撲。これからもどうか末永く頑張ってほしいものです。
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- [2021/10/06 00:00]
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