鶴を食べる
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鹿を「紅葉」、猪を「牡丹」というように、鶏肉も「柏」と呼ばれることがあります。今の若者はそういう呼び方をほとんど知らず、「おばあちゃんが『かしわを食べる』と言うので、何のことかわからなかった」と不思議そうにしていたのを聞いたことがあります。鶏肉はケンタッキーフライドチキンなどもあって、若者に大人気、栄養面でもすぐれているそうですね。
鳥の肉は古くから食べられていました。平安時代の貴族もキジ肉などをよく食べたようです。彼らのタンパク源は魚と鳥だったと言えるかもしれません。
私は御免蒙りたいのですが、伏見稲荷の門前には雀の丸焼きの店があります。私は広島で仕事関係の人が注文して食べていたのを目の当たりにしましたが、「君もどう?」と言われた瞬間、「いえ、けっこうです」とお断りしました。江戸時代の人は
雀も鳩も
食べました。雀は屋台の蕎麦一杯分ほどの値で売られたようです。鶏卵も食べられたのですが、今と違ってかなり高額で、およそ今の10倍ほどの値段だったようです。ほかにも、鴨、雉、鶉(うずら)なども食用になりました。これは今でも食べられますね。
珍しいところでは鴇(とき)というのがあります。トキは一時絶滅の危機に瀕した「ニッポニア・ニッポン」の学名を持つ鳥ですが、江戸時代は絶滅どころか害鳥扱いされるほどだったのです。この鳥は産後の滋養のために「トキ汁」として食べられるなど、限定的な食材だったようです。
江戸時代には珍味とされた「三鳥二魚」というものがあります。二魚は「タイ」と「アンコウ」でした。「三鳥」は「鷭(ばん。クイナの仲間)」と「ヒバリ」と、もうひとつは
鶴
でした。鶴を食べるというのは今の感覚ではよくわからないと思うのですが、当時も常食とするものではなかったようです。オランダ商館の医師として著名なフランツ・フォン・シーボルトは1826年の江戸の物価についての記録を残しています。そこには鳥の値段も記されており、「ガン 二分」「カモ 一分」「サギ 三百文」「シギ 三百文」などと見え、「ツル」に関しては「賣物ニナシ遠国ヨリ塩ヅケニテ奉ルアリ大抵二両位」と記されています。売り物としては見当たらず、遠国から塩漬けにしたものを届けたようで、値段は二両くらいとかなり高価でした。まさに珍味だったのでしょう。
今のリストの中に「サギ」もありました。落語に「鷺取り」がありますが、あの登場人物は(江戸時代であればの話ですが)欲張らずに2,3羽だけ獲っておいたら、けっこういい値段で売れたことになります。
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- [2021/10/12 00:00]
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コメント
鳩料理専門店
中国・広州で仕事先のひとが「鳩料理専門店」に連れて行ってくれました。伏見稲荷門前の雀の焼鳥を大きくしたみたいなやつがお皿にのってでてきました。「おいしいでしょう」と聞かれたので気の弱いわたしは「はい」と。皮と骨ばかりで、ちょびっとかじっただけでよしました。
🎵やたけたの熊さん
歓迎にうってつけの料理だと思われたのでしょうか。海外に行くと思いがけないものが食べられていることがありますね。日本人もタコとか納豆とか、不思議なものを食べます。
最近はカラスを食べようというアイデアがあるそうですが、これも私はダメだろうと思います。
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