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袈裟御前のはなし(2) 

盛遠十七歳、袈裟十六歳の三月に渡辺の橋供養が行われました。その時ふとしたことから盛遠は「世にありがたき女」を見かけるのです。素性を探ると、何と従妹にあたる袈裟でした。
盛遠は袈裟の母でもあるおばの衣川殿を訪ね、とんでもないことをします。
「自分がかつて袈裟を妻にしたいと言ったのにそれを叶えてくれなかった。あなたは私を殺したも同然だ。だから今、あなたを殺してやる」といって衣川殿に刀を突き付けました。衣川殿はさすがに恐ろしくなって、袈裟と逢わせると約束します。
盛遠が家に帰ったあと、衣川殿は袈裟を呼び寄せて事情を話すのですが、袈裟は母のためにと言って盛遠と一夜を過ごすことを承諾するのです。彼女には腹案がありました。
袈裟は盛遠に思いがけないことを言いました。「実は、夫の渡とはうまくいかず、逃げたいと思うこともあるので、

    夫を殺して

くれませんか」というのです。
「今夜、夫には髪を洗わせて、そのうえお酒を飲ませて寝させます。髪の濡れているのを目当てに殺してください」と、その手立てを語ると、盛遠は承知します。
その夜、袈裟は夫とお酒を飲みかわします。そして夫を休ませ、自分は髪を濡らして烏帽子を枕元に置いて臥しました。
そうとは知らず、盛遠はやってきます。暗いですから、人の気配がすることしかわかりません。枕元に行くと、脱いだと思われる烏帽子に触れます。そしてその人の頭に触れると濡れているのです。
これだ、と思って盛遠は無残にも袈裟を殺してしまうのです。
首を持ち帰った盛遠はしてやったりの思いでした。ところが、家来が思わぬことを報告するのです。「源左衛門尉渡さまの奥様が首を切られたそうです」とのこと。盛遠はあわてて首を確かめると間違いなく袈裟のものでした。

    愕然とした

盛遠は自分のしたことを省みて覚悟を決めます。
渡のところに行って、事実をすべて話し、自分を斬ってくれと頼みました。
しかし渡は「あなたも袈裟の菩提を弔ってください」と言って二人はともに出家したのです。
これが文覚上人だというわけです。

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