ファックス
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電話機が平べったく横長になって、ファックスというのが使える、というので家庭に普及したのは今から30年ほど前でしょうか。ファックスそのものが登場したのはもっと前でしょうが、確かそれくらい前に私の家にはなかったファックス機能を付けた電話を買った人が自慢げに(笑)話していたのを覚えています。あの当時は今のように鮮やかな文字が受け取れたわけではなく、何とか読める、という程度のものが届いたものでした。また、受け取った後しばらく放置しているとさらに読みにくく文字が薄く変化していきました。それもそのはず、なにしろ紙自体が
感熱紙
でしたから。思い起こせば、私が初めて家で使ったファックスは、ロール状の感熱紙をセットしておいて、ファックスが来たらそのロールがくるくる回ってその紙に印字されて出てくるというものでした。ロールがうまく回転しないと紙詰まりが起きたりして、発明した方にははなはだ失礼な言い方ですが、なんだか「工作の時間」に作ったような使い勝手の悪いものでした。
私が『上方芸能』誌の「文楽評」を頼まれたとき(1999年に依頼されました)は、もう普通にパソコンで文書を作っていましたが、たしかあの頃はまだメールに添付して送るのではなく、郵送していたように思います。ファックスでは文字がわかりにくいということもあったのかもしれません。あの頃はまだ手書き原稿も多かったのだろうと思います。その後、誰もがメールを使うようになり、文書の添付もあたりまえのようにおこなわれる日が来ましたので、私もすべてそのようにしていました。
そうなると、ファックスの
役割は終わる
のかな、という気がしないでもなかったのですが、やはり今でもたまにはファックスが届くことがあります。
今はもう普通のA4の紙を入れればきれいなものが届き、それに書き込むこともできるようになり、便利な時代になりました。
最近記憶に残るファックスは、ある仕事がらみのものでした。A氏からB師匠のところに届いた「新作浄瑠璃」が1か月後に演奏するべく作曲されるはずだったのです。ところがこれを書いた方は浄瑠璃についてはあまりご存じではなかったそうで、B師匠はあわてて私に「何とかこれを浄瑠璃の文章に直してくれ」というメールをくださったのです。しかしその時師匠は愛知県で公演中。どうにもならないのでホテルからファックスで送るので受け取ってほしいということでした。なんと、約20枚。これを全部に作曲して演奏していたら3時間ほどかかるのではないかというもので、私は拝見した瞬間に絶句してしまいました。
家やオフィスでパソコンや周辺機能があればPDFにしてメールで送ってもらうことができますが、緊急の場合はそれがかないません。ファックスがあったおかげで何とかその仕事をこなすことができたのでした。
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- [2021/11/08 00:00]
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