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都会が怖い 

大槻能楽堂に行った日、帰り道は谷町4丁目から地下鉄に乗ればいいのですが、たまたま能楽堂を出たところの信号が西側に渡れる状態になっていたものですからそちらに渡ったのです。そこから谷町4丁目に向かうのに、わたしはそのまままっすぐ西に向かって歩きました。谷町筋まで行ってそこから4丁目まで北上しようと思ったのです。そしてその心づもりのとおりに歩いたのですが、谷町4丁目交差点まで行くとまた西向きの信号が「進め」になっていました。何となくそれに誘われるように「今日は本町まで歩いてみよう」という気になったのです。谷町4丁目から本町までは地下鉄中央線の駅2つですから、歩くのが好きな私にとってはさほど長い距離というわけではありません。
中央大通りを、まっすぐ西へ歩いて、農人橋(東横堀が本町あたりで少し曲がっている、いわゆる「本町の曲がり」のあたり)を渡って、もうすでに店じまいしていた長い船場センタービルの脇を歩いていきました。土曜日の夜でしたのでほとんど人通りがなくて、

    都会ならではの寂しさ

を感じました。特にセンター街の外廊の部分は不気味さすら感じました。たまたま私の10mほど前を同じようなスピードで若い女性が歩いていたのです。つまり私が後をつけるような感じになったのですが、彼女は後ろから怪しげな人が来るというので怖くなかったかな、と心配になるくらいでした。自宅の近所なら、夜になると人通りのないのは当たり前で別に何とも思わないのですが、雑踏のイメージのある都会だと何かぞっとするものがありました。
本町に着いて、地下鉄駅に降りて御堂筋線の電車に乗ると当然ながら人の数が増えて、あとはいつもの都会です。車内では特に何も感じることはありませんでした。ところが梅田駅に着いてからは別の怖さに襲われました。
何しろ久しぶりの大阪です。人々の歩くスピードが私の暮らす田舎のそれとは違います。私も何かにあおられるように歩みの速度をあげていました。すると、周りの人たちに「ここは大都会だ。お前なんかの

    来るところじゃない」

と言われているような気になるのです。「さっさと帰れ」とも言われているようで、私はわき目もふらずに一目散に家路についたのです。こうして、人の少ないところでも多いところでも、都会に身を置くことの違和感、とでもいうようなものに付きまとわれて、この夜はとても疲れました。
しかしあの、能楽堂前の信号で私が西向きの道を選んだのは、その直前に「文楽人形がわからない」という気持ちになったことが大きかったかもしれません。梅田駅で一目散に帰路についたのとは逆に、まっすぐ家に帰りたくなかった、少しでも遠回りをして帰りたかったのではないかと思うのです。
あの「さっさと帰れ」という声は、ひょっとすると魔王の言葉だったのだろうかとすら思えます。

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