感
- 日々牛歩
- | トラックバック(0)
- | コメント(0)
「感」は小学校三年生で習う漢字で、当然私もよく使う字です。いろんな熟語で用いられますが、「感心」「感謝」「感銘」「感動」「感激」など、心が揺り動かされるような様子を表していて、なかなかいい意味のことばが作れるのです。もっとも「感染」「感冒」など病気関係の言葉になると困りますけどね。
「感じる」と動詞にして用いると「思う」「考える」と似ているようでもニュアンスは違って、あまり理知的なものではない印象を与えると思います。あまり根拠はないのだけれど、こうではないかと思う、というときに「感じる」を使うことがあると思うのです。もちろん五感で受ける気持ちを表すこともあります。「緊張感」「恐怖感」のように「感」を別の言葉のあとに付けると「~の感覚」「~の気分」のような意味です。
近頃、この「感」が熟語のあとに付いて用いられる例に新しい用法があるように思います。わかったようでわからないような言葉なのですが、
「空気感」
というのがあります。「空気」でよさそうなのに、わざわざ「感」を付けてぼんやりした印象を与えるようです。「あの人とはどうも空気感が合わない」「お正月の空気感は独特だ」など、「雰囲気」という言葉に置き換えられそうに思うのですが、やはり微妙に違うのでしょう。
物をはっきり言わないのは煮え切らない、ごまかすような表現に見えてしまいます。「感」を付けることで「はっきりしないけれどもそれらしい状態」を表して、最近はやりの言葉を借りるなら「知らんけど」と言っているようにも思えるのです。逃げ腰の言い方ですね。
もうひとつ、なぜか役人や政治家が使う言葉に多いような気がするのが
スピード感
です。
以前なら「速やかに」とでも言っていたのに、誰が言い始めたのか「スピード感を持って」のように用いられます。「速やかに」と言われても「また役人言葉かな」という気がしましたが、「スピード感」になると私などはさらに信用が置けなくなってしまうのですが、そうでもないでしょうか。「スピード」ではなく、「スピードを出している感じを大事にします」と言っているように思えるのです。これにも「知らんけど」という気分がにじみ出るのですが、意地悪な見方でしょうか。
にほんブログ村
↑応援お願いします
- [2023/03/19 00:00]
- 日々牛歩 |
- トラックバック(0) |
- コメント(0)
- この記事のURL |
- TOP ▲
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/6404-008575f5
- | HOME |
コメントの投稿