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消えた袿(2) 

かぐや姫危機一髪、というところです。すると画面が淡くなって、帝の手をすり抜けるようにかぐや姫がすっと立ち上がり桜色の袿(うちき)が脱げ落ちます。さながら蝉の抜け殻のようなものを帝は手にするほかはなかったのです。
この時かぐや姫の姿は「影」になっていて、彼女の身体から後ろの几帳などが透けて見えています。帝はあわててかぐや姫を探します。寝殿の南の庭も見通しますが姿はありません。なお、この映画では釣殿(中門廊の南の橋にある、池に突き出たところ)は西中門廊のほうに描いています。釣殿は、東西のどちらの中門廊の端にあるかは決まっていません。帝は寝殿の西側の簀子に出ているようです。
室内は、東側に屏風、南北に几帳が立てられて中央に畳が置かれ、脇息があり、火取(香炉)も見えます。
帝はことを急いたことを詫び、一目見たら帰るから出てきてほしいと言います。するとその「帰る」というひとことに反応したかのように帝の背後に忽然とかぐや姫の姿が現れます。かぐや姫は無表情で取り付く島もないような雰囲気で端座しています。このときまで帝はかぐや姫の袿を右手に持っていたのですが、その美しさに感じ入って思わず手を放してしまいます。このとき、火取からひとすじの煙が上がります。帝が近づくと、かぐや姫は身を引いて身体に触れさせることはありません。帝は諦めたように座るのですが、このとき、ちょっとおもしろいことがあります。
さきほど帝の手から滑り落ちた袿が、彼がそれを落とした場所から

    消えてしまっている

のです。
かぐや姫はへなへなと倒れ、帝は簀子に出て簀子に横付けされた輿に乗り込みます。ここでもまた気になるのは、この輿は明らかに鳳輦ではないことです。鳳の飾りがないばかりでなく、切妻屋根の簡素な袖輿のように見えます。
かぐや姫が怯えているところに翁が様子を見に来ると、ついさきほどなくなっていたはずの袿が描かれています。
このあたり、いったいどういうことなのだろう、と不思議だったのですが、プロデューサーの西村義明氏がインタビューに答えていらっしゃる記事を拝見しますと、袿が消えたのはいわば

    ミス

だったらしく、何か霊的な意味を持たせているというわけではないようです。
映画はカットをつなぎ合わせるように作りますので、連続している場面なのに小道具の位置がずれたり、人物のメイクが変わったりすることがしばしばあります。そういう「間違い探し」を楽しむ人もいる(笑)と聞きます。ただ、実写ならともかく、アニメでもやはりそういうことがあるのにびっくりしました。輿については、西村氏はなにもおっしゃっていませんが、やはり同じようにミスだったのでしょうか。私が何か勘違いしているのでしょうか。別に「間違い探し」の趣味はないのですが。

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