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醜女(1) 

パソコンで「しこめ」と打っても「醜女」は出てきません。今どき使われない言葉ですし、いささか侮蔑的な言葉でしょう。そもそも顔が美麗に見えるかどうかで人格を判断するとしたら、やはり問題があると、私も思います(私自身、そういうことはしてほしくありません・・笑)。人はやはりハートが第一。
しかし狂言「釣針」文楽(歌舞伎)「釣女」には、見た目の滑稽な女性があからさまに「醜女」という名で登場します。でも文楽の「釣女」で「醜女」に用いられる首は「お福」です。あの顔を見ると、たしかに女優さんのような美人というわけにはいかないのでしょうが、愛嬌があってかわいいと思います。
「釣女」という演目は、女性を釣るとか、美人ばかりもてはやされるという内容だけを見ると、現代的感覚手はけしからんと言われそうではあります。しかし、あの「醜女」のかわいさが救いとなって、罪のないお話にできあがっているため、目くじらを立てるほどのことはなく、あれはあれでおもしろいと思えばよいのでしょう。
「しこめ」の「しこ」というのは、本来

    「ごつごつしていていかつい」

という意味があり、『古事記』に出てくる「しこめ」は黄泉の国にいる女の鬼のことです。愛嬌とは縁がない、いかにも「いかつい」感じですね。それで、辞書の「しこ」の項は「醜悪」とともに「凶悪」という言葉でも説明されています。「め」は「女」ですから、当然「しこを」という言葉もあります。これももともとは「いかつい男」「頑強な男」ということです。
そこから「醜い」という意味に派生して用いられるようになったのですが、こうしてみると「しこめ」は文楽でいうなら愛嬌ある白塗りの「お福」ではなく、薄卵の

    「八汐」

のような人物なのかもしれません。役名でいうと『伽羅先代萩』の「八汐」や『加賀見山旧錦絵』の「岩藤」あたり、草履で人を打ち付けるようなタイプですね。
平安時代に『新猿楽記』というおもしろい書物があって、この中にとんでもなく醜い女性の容貌をきわめて具体的に書いている場面があります。これについてはこのブログの2020年9月11日の記事に書いています。
ただ、文字で書かれてもなかなかイメージが湧きにくく、『新猿楽記』のこの女性を絵にしてもらえないだろうかと、絵心のない私などはいつも隔靴搔痒の思いを抱きます。

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