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カーネーションの花かご 

1970年に開催された大阪府吹田市における日本万国博覧会。私は、あまりよくは覚えていませんが、日本が世界の中でそれなりのことができる国になったのではないか、今後ますます発展して世界の一流国の仲間入りをするのではないかという思いを抱かせたように思います。私もまた、まだ影の部分などわからない年齢でしたから、6400万人を集めた素晴らしい催しだと思っていました。ただ、あの「万国博覧会」という名称はどうにも時代がかっているように思います。今は英語で「World Exposition」とされるようですが、古くは「All Nations」という表現もあったようで、なるほどこれなら「万国」かもしれませんね。なお、ほかにも「International」とか「Universelle(フランス語)」とか、国によっていろいろ言い方があるようです。
あの博覧会の時、開会式の演出をされたのは宝塚歌劇団の

    内海重典さん

でした。内海さんはその打ち合わせの場でいろいろアイデアを出されたのですが、万博協会の人たちから「小学校の学芸会」「運動会」などと揶揄されつつ次々に反対意見が出てせっかく「見せ場」になると思って提案したことがどんどん削られていったそうです。内海さんが一歩も二歩も先を行きすぎて、協会のメンバーがついていけなかったのかもしれません。内海さんはさらに、開会式のフィナーレで子どもたちが(昭和)天皇夫妻、皇太子(現上皇)夫妻、三笠宮(崇仁親王)夫妻に花束を手渡すというアイデアを出されました。しかしこれも協会側の理解を得られず、「不可能」「非常識」と一蹴されたそうです。お役人の事なかれ主義というか頭の固さというか、せっかくのお祭りをつまらないものにしてしまいますね。
ところが中には賛同してくれた人もいて、その人が宮内庁に交渉したところ、「皇太子夫妻、三笠宮夫妻には直接手渡ししてもよいが、天皇皇后は侍従が受け取って渡す」ということになったそうです。ただしこれはハプニングとしておこなわれることになっていたそうで、メディアにはこの演出は事前に伝えられていませんでした。花屋さんも大阪の店では情報が漏れてしまうというので内海さんの親しい宝塚歌劇出入りの花屋さんに依頼したそうです。花屋さんもびっくりしたでしょうね。
そして当日、侍従は天皇のそばに立つことはないため、宮内庁からは「机の上に置くように」と指示があったそうです。内海さんは念のために「もし陛下が直接受け取られたらどうしますか」と尋ね、宮内庁側は「それは知ったことではない」と、ハプニング的に許容するような返事があったのです。私なんていっそのこと「手渡しOK」と言えばいいのに、と思うのですが、宮内庁の論理とは相容れないのでしょうね。あくまで「宮内庁はOKとは言っていない」ということにしたいのでしょう。
そして小学生の子どもたちが花を持って行くと、天皇は

    直接受け取った

のです。そりゃそうですよ。天皇だって、子どもが目の前まで持ってきているのに、「朕は受け取らぬ。机の上に置くがよい」とは言わないですよ。そのときの天皇の言葉は「ありがとう、ありがとう、ありがとう」だったと内海重典『私が愛した宝塚』(2000年。阪急電鉄コミュニケーション事業部発行)に書かれています。あの人ならそう言いそうですね(笑)。
この時とんでもないアクシデントもありました。三笠宮夫妻に渡すはずのランとカトレアの花かごを、カナダの子どもたちを引率してきた外国人教師が「記念に欲しい」と言って持って行ってしまったのです(どういう神経をしているのでしょうかね)。慌てたのが子どもに出て行く合図をする役割の人。困ってしまって、たまたまそこにあった花かごを持って行くように指示、三笠宮夫妻にはカーネーションの花かごが渡されて事なきを得たのです。このアクシデントのため、少しタイミングが遅れて、その遅れがまたいかにもハプニング的でよかったのだとか。宮内庁の役人も性懲りもなく(笑)「大変良いハプニング」と納得したそうです。

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