fc2ブログ

やり投げの美 

私は小学生のころ、どうしようもない鈍足でした。このころに、所詮他人に勝てるわけがないという思い込みがこのころに強く根付いたように思います。今に続く劣等感です。ところが高校時代になると、クラスの中ほどの足の速さだったように思います。大学生になると、何しろ文学部であまり運動が得意そうではない連中ばかり周りにいましたので、トップクラス(笑)になりました。
しかし100mを10秒で走るという感覚はまったく理解できません。棒を杖替わり(笑)にして6mも跳躍するなんて異世界の話にしか思えません。世界的な選手というのは信じがたいような技を磨き、力を蓄えているものだとただただ感心します。
夏のオリンピックではもともと「より高く、より速く、より強く」というのが目標のように言われていました。だからこそ陸上競技とレスリング、重量挙げなどはオリンピックの

    基幹的な競技

だったのだと思います。最近は水泳や球技のほか、格闘技、体操のような採点競技も増えましたし、さらに私の知らない競技もおこなわれるようになっていて、オリンピックのありかたがずいぶん様変わりしてきたように感じます。私はもう何十年もオリンピックを一生懸命観ることはしていませんが、たとえば次のパリ大会を一生懸命ウォッチしたら浦島太郎の状態になりそうです。
先月、陸上の世界選手権がおこなわれ、これも私はまったく観なかったのです。選手で知っていたのは田中さんという、中長距離の選手くらいで、5000mでいい記録を出されたというニュースはネットや新聞で読みました。
そんな中で、まったく知らない人でしたが、北口さんという女性のやり投げ選手が優勝したというのは、かなり大きく取り上げられましたので関心を持ちました。やり投げというのは、遠くにいる獲物を狩るために必要な狩猟民族(人間はもともと狩猟で生きる肉食獣だと河合雅男さんの文章で読みました)の技が基本にあるように思います。
私はあの競技を見ると、同じ投擲競技の砲丸投げやハンマー投げとは違った、人間の必死に生きようとする姿をもっとも純粋に表現しているように思えます。ほかのことは何も考えずに、大地の果てまで届くなら届け、とにかく遠くまで投げよう。数ある陸上競技の中でもそういうひたむきさをもっとも強く感じるのです(ほかの競技がつまらないというのではありません)。
とても変なことを言いますが、やり投げを見ていると『夏祭浪花鑑』「長町裏」の「八丁目!」で駆け出す

    団七九郎兵衛

を連想します。あてなんてない、どこまでも飛んでいけ、地の果て、空の果てまでも駆けて行け。あの舞台では、団七が舞台の上手へ(花道を使うときは鳥屋口へ)駆けていくのですが、そこで人形遣いさんが止まって「はい、おつかれさん」と足遣いさんに人形を渡している姿なんて思い浮かべる必要はないと思います。団七は、「田島町の段」でまた登場するわけですが、それがあまり上演されないのは、「どこまでも駆けて行った」団七の姿を観て終わる方が、観客にとっては強いカタルシスが感じられるからかもしれません。
やり投げも、投げ終わって「○メートル○センチ」という結果が発表されるのはあまり関心がなく、助走して空に向かって投げる瞬間に私は魂が浄化されるように思うのです。

にほんブログ村 演劇・ダンスブログへ
にほんブログ村
↑応援お願いします
jyorurisakushaをフォローしましょう

スポンサーサイト



コメント

やり投げ、という競技が学べる素晴らしさ。

北口さんの、晴れやかな笑顔と。
綺麗な言葉で喜びを語られた姿は、

ああいう種目を選んだ理由から、知りたい。
と、思わせて貰えました。ここ最近の、最も清々しいニュースでした。

振興住宅地に、ポツンと建った新設高だった、我が母校では。

広大な未開発の土地だけは有ったので。
野球と、ハンドボールが、同時に練習できるほどの、スペースがありましたが。

流石に、やり投げや、なんとか投げをさせる陸上部では、無かったな。。。

まあ、指導できる教師が居なかったのかも知れませんが、競歩すら選好している子は居なかったかな?

昔々の話なので、42,3人学級が、12クラスもある、マンモス高校でしたが。

ああいう競技を練習する設備がある学校も凄いですが。
あの競技を選べんで打ち込める環境って、物凄い苦労が有るだろうな。

と、あのニュースを見て。
どうやって練習するのだろう?サッカー部と同時に、隙間を縫って、は。
流石に危険で無理だろう?
イヤ、時間差で、サッと飛ばすのか?と、思いました。

そもそも槍って、持ち帰っていいのかな?
競技場に持ち込むとき、電車移動できるのか?証明書が必須なのか?

まさか、銃刀法とかの扱いにはならないでしょうが・・・。
いや?そうなのか?
(何となく、そこまで知りたくない‥
体育の授業が嫌いだった、わたくし)

特に調べるほどの興味が持てなくてごめんなさい、金メダルの北口選手。

素晴らしい記録と、素敵な人柄は、
久しぶりに、心から尊敬するお嬢さんに出会えました。素晴らしかった。

※感動よりも、そこの疑問か?という、ご指摘は心得ております。

無記名のやり投げ・・

しまった、失礼いたしました。
一学年、12クラスもある学校なので、こんな馬鹿でもなんとか卒業できたのだろう。

恩師のセンセ、先生方、申し訳ございません。酷暑疲れの言い訳と思ってくださいませ。

  • [2023/09/11 15:48]
  • URL |
  • やっちまった・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

♬押しEgoさん

無記名でもすぐに「押しegoさん」だとわかりますけどね(笑)。
なんでも、チェコの言葉ですらすらインタビューにも答えたのだとか。
私の高校の陸上部も砲丸投げまででしたね。あれは短い距離しか飛びませんよね。ハンマー投げとか円盤投げも危険です。実際に、やり投げの槍が人に刺さって傷ついたり亡くなったりした例はあるそうで、気を付けなければ危ないです。測定係の競技役員もたいへんです。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/6581-35cfc472