fc2ブログ

浄瑠璃は難しい 

この8月、ほかの仕事もしながら浄瑠璃の創作にかなり時間を割きました。特に8月終盤は、頭の中は浄瑠璃ばかり。朝起きたらまず、前日までの文章を確認して改めるべきところを調べます。書いているときはこれでいいと思っても、1日経つとやはりダメだ、という場合が少なくありません。
そのたびに自己嫌悪というか、どうしてこんなものしか書けないのかという情けない気分に陥ります。そして書き直してはまた次の日にがっかりするという繰り返し。かなり精神衛生に悪い(笑)作業です。
ストーリーはすでに決めていたのですが、なにしろ浄瑠璃の文章は独得で、半ば韻文ですから、いかに表現するかで相当苦労します。
ある意味の言葉を使いたくても、

    三味線の音

に乗らないようであれば別の言い方に変えなければならず、語りにくいと思ったらまた変えます。直前に出てくる言葉は基本的には重複しないようにしています。こうして、ひとつの言葉を考えるのにかなり時間を費やします。
小説のように、主に黙読されることを前提にした文章ではなく、耳で聴いていただくものですから、韻を踏むようなこともします。たとえば、重源は「関水(せきみず)」という水路を作って材木を流しやすいように工夫したのですが、そのことを言う部分では「水路を作って木を流した」という意味を伝えたいわけです。しかしそれではあまりに散文的で流れる感じがしないので「流した」という意味を「すいすい」という擬音で表現しようと思いました。「水路を作ってすいすいすい」。これで少し良くなったと思います。しかし何だか「作って」がひっかかります。できれば「作って」の「つ」ではなく「す」で始まる言葉に置き換えたいのです。しかし「作る」の意味を持つ「す」で始まる言葉というと・・・? こう考えた時にまた筆が(というか、キーボードが)止まってしまうのです。最終的には

    水路を据ゑてすいすいすい

としました。「っ」という促音がなくなったこともあって、「水路を作って」よりもなめらかで、しかも「す」で頭韻が踏めます。
こういうことを最初から最後まで考えて作っていると、頭の体操になるというか、気が変になるというか(笑)。
私は以前から古語辞典を読むのが大好きなのですが、こういう古い文章を書くときにはさらに座右から離せないのです。間違った意味で使っていないかを調べ、時代錯誤がないかも考えます。実はある場面で「一期一会」という言葉を使おうと思ったのです。「一期」なんて仏教的な言葉で、重源上人が使うのにもってこいだと思ったからです。ところがこの言葉は茶の湯で用いられるもので、やはり時代としては合わないと考え直し、使いませんでした。
重源さんの言葉は硬めに、村の人の言葉は和語を多めに用いてしかもときには方言も交えるようにしました。
徳地の南隣の防府市では

「幸せます」

ということばを町のキャッチフレーズのように使っています。私は新しく作った言葉だろうと思ったのですが、なんとこれはひと昔前の人なら徳地でも使っていたのだそうです。
「こねえ、ええもんもろうてから、幸せます」
(こんなにいいものをいただいて、うれしいです)
というような言い方をするのだそうです。そこで、重源上人がふざけてこの言葉を使う場面を書き込んでみました。こうやって地元の方にあれこれお尋ねしながら何とか書くことができました。
これから、地元の方に見ていただいて、もし県や市の文化振興予算から補助金が出るようなら、作曲の依頼をしてもらって最初は素浄瑠璃でもいいので聴いていただき、そのうえでもし人形が付けられそうなら「オリジナル浄瑠璃」として日の目を見るかもしれません。私は大阪府能勢町のオリジナル作品を書きましたので、もし実現したら第二弾ということになります。能勢町は二百年以上の伝統を持つ土地の浄瑠璃に誇りがあるようですので、しっかり補助が出ていました。徳地は合併によって大きな市の一部(しかも東の端ということで、中心地からかなり離れたところ)になってしまいました。それだけにいささか不安があるのですが、期待はしています。
浄瑠璃を書くのはとても難しいですが、夢は広がります。

にほんブログ村 演劇・ダンスブログへ
にほんブログ村
↑応援お願いします
jyorurisakushaをフォローしましょう

スポンサーサイト



コメント

あのう・・、

@・・幸せます

あのぉ、いつもながら、厚かましく質問させて下さいませ。

上記の読み方は、

①さちせます、でしょうか?
②しあわせます?

何と、読むのでしょうか・・・
どちらの読みでも、調子を合わせるのが、難解な気がする。
あとは、どんな読み方が出来るのだろう。。あ、

③さいせます。

どれも、調子を合わせるのが、難解そうな・・
いや、三味線さんのテクニックなら。

ここ!!ここ!!来た来た!!の、
サビの高揚感に繋がる、名調子になる気もする・・。って、素人が偉そうに、すみません。

そもそも、こういう、
聞きなれないセリフをわかりやすくするのは、ご法度なのでしょうか?

あ、愚問しかできない不詳の教え子であることは。
もう、はるか昔に、絶望を通り越して居られると、確信しております。
ええ、本当に。

読み方、読ませ方は、
三味線さんと、ご相談なさって、決めておられるのでしょうか?
あ、これは違うのか?

勝手に古語の読みを替えてもいいのなら、はやり歌になるのかな?

※・・と、恩師が命を削って苦心して居られる崇高な作業に。

たやすく質問する、その前に。

古語辞典でも、広辞苑でも、
検索でも駆使して調べなさい? 
は仰る通りですが。
老眼を認めたくない我が身へ、これ以上の厳しいご指導は、
何卒お許しくださいませ。

※どれだけ甘い採点でお許しいただいているか。
常日頃、存じ上げては、居ります。

あら?
どっかで、雷が落ちそうやけど、知らないふりをしよう・・。

  • [2023/09/14 05:05]
  • URL |
  • 愚問は得意分野の・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

🎵押しegoさん

この浄瑠璃の調査のためにまず防府市に入ったのです。すると、街にたくさん幟が上がっていて、そこには「幸せます」と書かれていました。ホテルに入ると利用案内の紙にも「幸せます」。私も押しegoさんと同じように「なんと読むの?」と首をかしげました。正解は「しあわせます」。
しあわせです、しあわせでございます、のことでしょう。「ます」は助動詞で、通常動詞の連用形に付きますから、文法的にはおかしいともいえるのですが、あちらでは実際に使われてきた独特の言い回しのようです。
この言葉は節(ふし)のつかない普通のセリフという気持ちで書きましたので、三味線は入らないはずです。

まぐれが、場外ホームランなりけり。

うわぁ、あらま、まさかの。

②で、正解を出せたなんて・・。

わたくしが何よりも、この上なく。
しあわせます、で、ございます。

※勘だけで正解できることで、今まで何とか生き延びてきたことが、立証できました。
それにしても。
転勤族の、数々の出身地の人と。
方言を、教わることで近しくなることがを教わりましたが。

シアワセマス、
という単語を、使いこなしていた人は、記憶にない?いや、無かったはず・。

あったとしても、言い間違いだろうと、聞き流していたのかも。
勿体ないことをしたモンです。

早朝から、ご講義、ありがとうございました。

※時間外ご講義の手数料は、年末にご請求のほど、お願い申し上げます。
何と相殺しようかな・・ワクワク。

  • [2023/09/14 08:32]
  • URL |
  • 3番は選ばないを遵守の・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

相も変わらず、失礼しました。

いつになったら、このPCのご機嫌になれるのだろう‥。

更新を 知るときこそぞ シアワセマス

季語が入っていないお叱りは。
奴ら(賢すぎるPC頭脳)の、ご機嫌を聞くことを、すで諦めている。
と、解釈なさってくださいませ。

  • [2023/09/14 08:44]
  • URL |
  • 途中送信で、失敗の・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

3択問題と言えば。

旧姓時代の若かりし頃、やりたくない業務をやってもらう為。

説明しつつ、興味を持ってもらう為。僕ちゃんやお嬢さんたちに、合間に、三択で考えて貰う。
姑息な手法を駆使していたのですが。

その際。

●〇さんて、
三択は、とりあえず2番が正解の、手本みたいな人ですね。

と、妙な感心を頂戴しまして。

①は、外させる為に、捻っておく。
② で、正解。
③は、もう他に思いつかないから、誰が見ても間違い。

塾の先生が言うてた、お手本みたいですね。

と、年下の坊ちゃんに有り難きご指摘を頂きました。
(それより、業務の内容、咀嚼してくれたんカイ?)と、言いたいところですが。

確かに、③では、大概。
無い頭が、力尽きて頓珍漢なことしか思いつかない事実に、トホホなのでした。

僕ちゃん。
説明に、ご指摘で返していただけて、

シアワセマスで、ございました。

妄想で、あなたが通り過ぎるときに。足を引っかけて成功する姿を描いておりましたのよ、ほほほ。

  • [2023/09/14 14:48]
  • URL |
  • 途中送信で、失敗の・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

🎵押しegoさん

たくさんコメントいただきましたので、何をどうお答えすれば良いのか難しいです。
私が関わってきた入試はたいてい4択なのですが、バランスよく答えを分散させました。でも、つい3つ目を正解にしたくなるのですよね。
4つ目の誤答を考えるのはほんとうに至難の業。入試作成とは、誤答を考えるものなり、と学びました。

読み捨ての権利は筆者さんに、在りけり

あ、センセ。碌なコメントしか、ご送信しておりません。ハイ。
ですので、見なかったこと、読まなかったことにして頂く権利を、
存分に発揮なさってくさい増せ。

※‥だったら、いちいち、こういうのを、読ませるな。。
はは、ごもっともです。

  • [2023/09/14 15:47]
  • URL |
  • 恩師に無礼、極まる・押しego。
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://tohjurou.blog55.fc2.com/tb.php/6583-4559baee