ご当地浄瑠璃
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夏に原稿用紙にするとわずか12枚程度でしたが、ご当地浄瑠璃を書いてみました。あれだけいろいろ調べたのに、95%は捨てたも同然かな、と思います。そういえば、ずいぶん昔NHKの番組に出た時、初めてカメラに追いかけられる生活をしました。カメラマンと音声さんにペアで文字どおり「密着」されて、ずっとカメラを回して、大変な量の映像を撮られました。しかし、ディレクターさんが「使うのはほんの一部で、ほとんどは使えない」という意味のことをおっしゃっていました。事実、ほんとうに多くの映像を撮られたのにオンエア10分そこそこだったような気がします。それをふと思い出しました。
論文を書く時も、あれもこれもと調べても使わないものがかなり多く、時間の無駄に思えることもあります。しかし実際は、その無駄に見えることが重要で、書いたもののどこかににじみ出ているように思いますし、よしんばそうでないとしても、後日何らかの役に立つことがわりあいにあるものです。まったく別の場面で「これは以前調べたことがあるな」と思い出して、使えることもあるのです。
ともかくも、
重源上人
に関してはいくらか詳しくなりましたし、これまで知らなかった「石風呂」とか「関水」というような言葉も覚えることができました。
以前、大阪府能勢町の浄瑠璃を書いた時も、場面設定をするために現地に行って長い時間そのあたりをうろうろしたことがありました。写真で見るだけではとてもわからないことがあり、このたびも現地に行くことに何のためらいもありませんでした。
石風呂跡というのがいくつも残っているのですが、ひとつ見ればよさそうなものなのに、私はひとりであちこちうろついて、何か所も見学してきました。現地は交通の便が悪く、バスに乗れば行けるのですが、帰りのバスまで
2時間待ち
なんてことも珍しくなく、それなら歩こう、というので延々と歩きまわったこともありました。これはこれでまったく思い掛けなかったようなものまで見物できるという「副作用」をもたらしてくれました。
今後も、命ある限り、どこかの地方の浄瑠璃が書ければ、と思っています。ただ、地方の人形浄瑠璃の団体は、基本的に古典を上演するばかりです。それは経済的な事情も、また技術的な問題もありますからやむを得ないのです。でも、私は人形浄瑠璃の形にこだわらず、素浄瑠璃ででも書いてみたいと思っているのです。私の家の近くの神社には、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に連れ帰られた虎にまつわる伝承があるのです。これなんて、滑稽でありながら人間の愚かさを描けるおもしろい浄瑠璃にできるのではないかと思っています。
宮司さんに相談してみようかな・・。
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- [2023/09/14 00:00]
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コメント
虎のお話、ぜひぜひ語り物でうかがいたいです。
今年の冬に東京の「国性爺合戦」のとき、虎がとてもラブリーでした。中にはいっていらしたのは、勘介さん?という人形遣いさんだと思います(そんな記事をツイッターでお見かけしたような気がします)。ネコと恋におちて道行とか心中をするのではなくて、時代物でぜひよろしくお願いいたします。
🎵おみつさん
恐れ入ります。
でも、私は世話専門なのです。最新作(というほどのものではありませんが)は鎌倉時代はじめの時代もののようで、実は世話の場面。
加藤清正が連れ帰った虎を、一時この神社の森に預けて、餌がわりに犬を与えたというのです。ところがある日、餌になる宿命の犬が檻の中に入れられると強いのなんの。虎が怯えてしまいます。秀吉曰く、「そんな弱い虎はいらん!」というお話です。
猫と道行の方がおもしろそうです。
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