手 

もともと4つ足だったのに、ひょいと立ち上がったために前足が手になった。
足よりもおそらく細やかに動く手。犬は後ろ足で身体を掻きますが、人間は手で掻きます。
足と足で心を通わす習慣はなくて、手と手だと強く体温を感じ、愛情や憎しみを感じます。

小津安二郎は足の表情もずいぶん撮りましたし、渥美清の寅さんも足の動きも雄弁でした。
でも、、でもやはり

    

は表情豊かです。
このことばを辞書で調べると驚くほど用途が広いことがわかります。
Hand の意味はもちろんですが、「演奏法」「筆法」など手は芸術を生む手段になることを感じさせます。
スポーツでも「四十八手」(相撲)のように、技をかけるのに手は重要です。
「仕事」の意味になるのも以下に我々が手を使って仕事をしているかの現われでしょうね。
「山の手」のように方向を示したり、「語り手」のように人そのものを指したり、さまざまですね。
「火の手が上がる」なんて、火を手に見立てたいいメタファーです。

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文楽人形を遣う場合に、手はやはり重要です。
多くの人形には顔の表情がありませんから、

    手先に心、通はする (曽根崎心中)

ことで気持ちが見事に表現されます。
静御前の舞いも、弥陀六の詰め寄りも、光秀の見得も・・・・。
男女の愛情を示すのにも、手をつなぐだけでなく、相手の肩に手を乗せたり、手先でちょっと相手を突いてみたり・・・・。
右利きの人が多いので(私は左利きなのですが)、やはり主遣いの動きが重要でしょうね。
玉男さんの右手は温かかったなぁ。
もちろん今も、簑助さんの右手、勘十郎さんの右手・・・・魔法のようなすばらしい技が冴えます。

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