王朝の歌人たち 

新年度、一般の方にお話しする講座を二つ考えなければなりませんでした。ひとつは『源氏物語』で決まっていましたが、もうひとつ、以前このブログで「菅原道真」と取り上げるようなことを書いたのですが、いろいろ考えた結果、あまり興味を持っていただけないかもしれない(漢詩が多いことも理由のひとつです)と思うに至り、変更することにしました。
やや総花的になるのですが、小野小町も在原業平も紀貫之も和泉式部もとにかくさまざまな

    王朝の歌人たち

についてお話しして、平安時代の和歌史を展望してみようと決めました。これでやってみようという方がいらっしゃるかどうかわかりません。しかし、何もしないわけにも行かず、時期も迫っていますので、えいやっ! とばかりにシラバスを作って提出してしまいました。
和歌を読むのはもちろんなのですが、歌人たちがのちの時代にどのように受け止められていたかを探ることも考えており、具体的には本歌取りなどの形で影響を与えたことを考えてみたり、説話などを読んでいかに

    伝説化

されたかを考えたりしてみようと思っています。
たとえば、和泉式部は恋の歌を多く詠み、好色であったかのようにも伝えられています。その結果、どんな説話が生まれたかを調べてみたいのです。
まったく自信はありません。これから相当勉強しなければならないと思われ、いささか焦っています。

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六代 豊竹呂太夫 襲名を祝う会 

3月19日(土)、大阪のホテルニューオータニで、豊竹英太夫改め

     六代 豊竹呂太夫 襲名を祝う会

がありました。
桂南光さんが進行してくださって、とても和気藹々とした会だったそうです。
フェイスブックなどに出席された方々の写真がずいぶん上がっていましたので、私もその雰囲気だけは味わうことができました。
出席者は各界の著名人が多く、さすがに英太夫さんはお知り合いが多いのだな、と感心します。
私は体調不良で、たぶんホテルまでたどり着くことができなかった(笑)と思いますのであきらめたのですが、行かなかったのは正解だったように思うくらいの錚々たる出席者の集まった賑々しい会だったようです。もし行ってたら場違いだっただろうな(笑)、と思いました。
『文楽 六代豊竹呂太夫 五感のかなたへ』は

    114冊

売れたそうです。
お求めくださいましたみなさま、ありがとうございました。あと100回くらい別の方をお招きしてパーティをしてくださったらベストセラーになったかも(笑)。
本のことはともかく、この慶事を蔭ながらお慶び申し上げることに関しては人後に落ちることはないつもりでした。英太夫さんがますます大きな太夫になられますよう、期待しております。
このあと、東京でもおこなわれ、おそらく英さんの呂太夫としての精進の決意はさらに確固たるものになっただろうと思います。
ひとつ気になるのは襲名公演前の英太夫さんのご多忙のご様子なのです。
肝腎の公演は間もなく始まります。どうかお疲れが出ませんように。

こだわり、そしてお願い 

私はデザインとか色の取り合わせとか、そういうことはまるでわかりません。
そもそも、自分の書く文章についてはともかく、ものごと万端に対するこだわりもあまり強い方ではないと思います。「白鷹」でなければお酒を飲んだ気はしないとか、どこそこのブランドでなければ小物は持たないとか、そういうのは一切ないのです。普段飲むなら(あまり飲みませんが)1升入りの紙パックの800円くらいのお酒でも一向にかまいません。お酒の微妙な味わいなどあまりよくわかっていないのです。身につけるものも、便利でさえあれば、安物でもこだわりは持ちません。
そんな私から見ると、芸術家肌の

    デザイナーさん

というのはたいしたものだと思います。
『文楽 六代豊竹呂太夫 五感のかなたへ』のデザインについてもいろいろ工夫してくださっていています。カバーや表紙を見ただけでもさすがは老舗出版社の仕事だと思います。
カバー写真は最終的には呂太夫(英太夫)さんの襲名挨拶のものをお借りしていますが、これもずいぶんあれこれ考えた結果だったのです。金屏風を背にした写真ですが、本のカバーとしてはもっとシックにするアイデアもありました。
見本を見せていただいた時に気づかなかったことで、文字どおり

    きらりと光る

のは「Toyotake Rodayu」の金文字でした。背表紙の「文楽」「五感のかなたへ」も金文字です。実物を拝見して「おおお」と声を挙げたくなるくらいでした。見本はメールで送ってもらったものでしたから、金色がそこまできれいには出なかったのです。

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刊行されました 

何度も宣伝めいたことを書いて申し訳ございません。
長かったような、短かったような制作の日々が終わり、小著『文楽 六代豊竹呂太夫 五感のかなたへ』が正式に刊行されました。奥付に記載されている刊行年月日は

    平成29年3月20日

ですが、少し早めに書店には出たと思います。
たまたまその前日(19日)に紀伊国屋書店に文楽友だちの方がお出かけになったらすでに出ていたそうです。
私の手元に届いたのは3月10日で、たまたま編集者さんが「近くまで行くから『できたて』を届けましょうか」と言ってくださり、お言葉に甘えてお持ちいただいたのでした。
私なりに工夫して書いたつもりではあるのですが、なにしろ能力もなく専門家でもありません。まして、

    太夫さんの魅力

を伝えるにはもっともふさわしくない障害を持つ身の上ですから、すぐれた本になったとは到底思えません。ただ、呂太夫(英太夫)さんのお話(先人の思い出、太夫としての人生、義太夫に向き合う姿勢、芸談などなど)を書き留めるということだけはできましたので、関心をお持ちくださる方はどうぞご一読くださいますように。

刊行データ
 書名  『文楽 六代豊竹呂太夫 五感のかなたへ』
 著者  六代豊竹呂太夫 片山剛
 発行所 株式会社 創元社(541-0047大阪市中央区淡路町4-3-6)
 ISBN  978-4-422-70112-7
 四六判 188mm × 128mm  224頁
 2160円(税込)

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かっこいい引退(2) 

松香太夫さんは春子師匠が亡くなった後、南部太夫師匠門下になられたと思うのです。
それで、竹本南都太夫さんの結婚式にも出ていらっしゃいました。
実は南都さんの結婚式には私も出していただきましたが、そのとき、咲師匠ご夫妻、咲甫君(まだ10代の少年でした)らと同じテーブルだったのです。そして松香太夫さんも私の真向かいにいらっしゃいました。
スピーチも

    きわめてまじめ

で、周りの人と談笑されるというより、ずっと緊張したような硬い表情をなさっていました。
いかにも松香さんらしく感じました。
松香太夫さんは、本公演では端場とか掛け合いが多かった方でしたが、以前はよくNHKのラジオに出演され、「尼崎」などの大曲も語られました。
下手くそどころか、


    義太夫節の肝要

を押さえたきちんとした語りだったと思います。こういう方がもっと評価されてもいい、と思いました。
『東海道中膝栗毛』では笑わせていただきましたし、「長町裏」の義平次は憎たらしかったです。
同じ春子師匠門下の英太夫さんが襲名される直前の引退、文楽劇場ではなく気楽な会での語りで最後、しかも「雪転し」。
こういう引退もあるのだ、と記憶したいです。
そんなかっこいい引退だと思います。

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