文楽超入門(番外の2)
今日から十一月公演も後半です。
第二部は4時から、「靭猿」「恋娘昔八丈」「五世豊松清十郎襲名披露口上」「本朝廿四孝」と、もりだくさんです。
「靭猿」
は狂言からきたものですから、舞台も松羽目です。
「自分は身分が高いから何でも出来る」と大きな勘違いをする(いつの時代にもいる)大名と猿曳、それに間に立つ太郎冠者のやりとり。さらには何もいえないで芸をする猿の無邪気な姿が描かれます。
特に面白い物でもないでしょうが、あとの襲名披露の前祝的な内容です。
「恋娘昔八丈」
は中堅人形遣いの吉田簑二郎さんと吉田勘弥さんが師匠(吉田簑助さん)の持ち役であるお駒に挑みます。師匠の役をはじめて遣うわけですから、おふたりとも緊張もするでしょうし、やりがいもあるでしょう。後半は勘弥さんです。うかがったところでは、前半からこの役のことが頭から離れなかったそうです。思い切りぶつかって欲しいですね。
黄八丈の小袖を着て処刑されたという歴史上の人物「白木屋お熊」をモデルにしているのでタイトルにも「八丈」がつきます。黄八丈は最初八丈島で織られたのでこの名があるそうですね。
三枚目なのに二枚目と勘違いしている番頭の丈八(名前をひっくり返すと「八丈」になります)の存在も面白いのですが、結局お駒は夫となる喜蔵(実は丈八の仲間の悪人)を殺すことになります。そして処刑の場で喜蔵と丈八の悪事が露見し、めでたく彼女は許されます。
これもまた襲名披露の前狂言としてめでたい幕切れのものが選ばれているわけです。![]()
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- [2008/11/14 00:00]
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文楽超入門(番外)〜文楽初体験の方へ
毎公演、文楽初体験の方がいらっしゃるはずです。
もしそういう方が「どんな芝居だろう?」と思われてネットを探し回られたら、と余計なおせっかいをするのです。
この公演、今日は休演日で、明日からいよいよ後半です。
そこで、簡単に見どころを書いておこうと思います。
後半の第一部は「双蝶々曲輪日記」「八陣守護城」です。
「双蝶々」は長い話ですが、今回はその一部分です。
関取の
濡髪長五郎(ぬれがみ ちょうごろう)
が、ごひいきの息子さんの恋愛を邪魔する男を殺して追われる立場になることを示す「難波裏喧嘩」。
ここでは濡髪の豪快な力強さが見られます。
そして「引窓」の段。
濡髪は八幡にある母親の再婚先に別れの挨拶に行きます。そこは母の継子である
与兵衛
の家でもあります。よりによって、この与兵衛はこの日庄屋代官に取り立てられて、濡髪を逮捕する役目を担わされています。
濡髪は潔く名乗り出ようとし、母や与兵衛の妻(お早)は逃がそうとします。与兵衛も事情を知ってついに逃がしてやるのです。
この場面では「引窓」(灯り取りの天窓)が大きな意味を持ちます。実は与兵衛の任務は夜の間だけ。
そこで最後は天窓を開けて、差し込む月の光を「夜明けの日の光だ。自分の役目は夜だけだから」といって逃がしてやるという趣向なのです。折しも放生会(捕えた生き物を逃がしてやる日)のことです。
しみじみとした母親と濡髪のやり取り、陰で支える嫁のお早。そして与兵衛の慈悲心。そういう人々の愛情が浄瑠璃の切々たる語りによって描かれます。
私が始めて泣いた浄瑠璃はこの作品でした。
やや地味な話で、初めての方にはひょっとしたら退屈かもしれませんが、よく浄瑠璃をお聞きになってください。じわっと来るかも知れません。![]()
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- [2008/11/13 00:00]
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オバマさん
アメリカの次期大統領にまだ40代の若さを誇るバラク・オバマさんが就任することが決まったようです。はじめての黒人大統領ということでさらにフレッシュな感じがします。
日本にも「おばま」という姓はあります。漢字で書くと「小浜」だったり「小汀」だったり。
「小浜(おばま)」という名前の方はNHKの解説委員にいらっしゃいました。
一方、「小汀」というと、
小汀利得(おばま としえ)
というジャーナリストがいました。
オバマ、という名から、私はまずこの人を思い出してしまいます。
私はあまり覚えていないのですが、父親が見ていたテレビ番組に「時事放談」がありました。古い番組ですが、小汀さんはこの中でいいたい放題をいう人として知られました。同じ番組でやはり毒舌で知られた細川隆元とともに「りゅうげんさん・りとくさん」でなかなか人気があったようです。
有名なのは、ビートルズの公演を日本武道館でおこなうことに猛反対したこと。42年前のことなんですね。
そんな、ちょっと怖いおじさんは、戦後有力になった日本語のローマ字表記派やかな文字表記派に対して、漢字仮名交じり表記を守ろうとした人でもありました。![]()
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- [2008/11/12 00:00]
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「上方芸能」170号
季刊誌
上方芸能
が刊行され、昨日私の手元に届きました。書店にもすぐに並ぶことと思います。
今回の特集は大衆演劇です。
根強い人気を持つ大衆演劇の本質や現状について詳しく書かれています。
実は私はあまりよく知らないものですから、こういう機会にいろいろ教わろうと思っています。
「贔屓のひき起こし」のページには高木浩志さんが
竹本綱大夫 師匠
について書いていらっしゃいます。
綱大夫さんくらい多くのレパートリーを持つ人はいない、というお話から始まって、若き日のお二人のご関係などが紹介され、最後にはまだまだ頑張っていただきたいとエールを送っていらっしゃいます。![]()
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- [2008/11/11 00:00]
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文楽・超入門(7)
近松門左衛門のことをずいぶんあれこれ書きました。
実際、今でも近松作品は人気演目です。
「曽根崎心中」など、好きな演目のアンケートをとると常に上位にいます。
近松以後の作者で著名な人といえば、並木千柳(なみき・せんりゅう)、三好松洛(みよし・しょうらく)、竹田出雲(たけだ・いずも)らがいます。彼らが作った名作に
時代物の三大名作
といわれるものがあります。
すなわち、
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
の三つです。
今でもこの3つの演目は近松作品に勝るとも劣らない人気を誇っており、歌舞伎にも移されて、不朽の名作といわれています。
「時代物」というのは過去の時代に材を取ったいわば時代劇。ところが、舞台に繰り広げられる風俗などは江戸時代風になっており、時代劇と現代劇がミックスされているわけです。
たとえば「菅原伝授手習鑑」は菅原道真とその周辺の人物が登場しますから、時代は平安時代です。ところが、男性登場人物の皆さんの多くはなぜか前額部から頭上にかけて髪をそり上げた、いわゆる「月代(さかやき)」を剃っています(これは中世末期からの風俗)し、着物も全く江戸時代風。
この作品の名場面といえば「寺子屋」ですが、寺子屋なんて平安時代にはありません。
ものの考え方も儒教道徳の色濃い江戸時代風です。
しかし、考えて見ますと、今の時代劇(「水戸黄門」とか「遠山の金さん」とか)も、現代風の考え方で描かれることは当たり前で、大岡越前が奥さんと並んで町を散歩したり、町のおかみさんがお歯黒もせずに白い歯を見せてにっこり笑ったり、また純愛ブームになると時代劇もそういう観点から描かれ、政界と財界の癒着が問題になると時代劇にやたら「河内屋」が出てきたり(笑)しますよね。![]()
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- [2008/11/10 00:00]
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